診療情報のご紹介
当科で取り扱う主な疾患
悪性リンパ腫
- ◆ 定義

悪性リンパ腫は腫瘤を形成しやすいリンパ球のがんの総称
- ◆ 種類

非ホジキンリンパ腫とホジキンリンパ腫に分類されます。
本邦では非ホジキンリンパ腫が90%を占め、ホジキンリンパ腫は10%程度です。
非ホジキンリンパ腫は病理細胞学的に低悪性度、中悪性度、高悪性度に分かれ、さらに細分化されています。
B−細胞由来が90%、T−細胞由来が10%です。
- ◆ 頻度

悪性リンパ腫の正確な発症頻度は不明ですが、最近、増加傾向にあり、1年間に10万人に対し8−10人程度、栃木県では約160−200人の新しい患者さんがいると推定されます。
当センターでは年間約50名の新しい患者さんの治療を行っています。
- ◆ 原因

がん化に結びつく多くの異常が明らかになりつつありますが、正確ながん発症のしくみは不明です。
一部の非ホジキンリンパ腫はEBウイルスが関与しており、成人T細胞性白血病/リンパ腫はATLウイルスが原因です。
- ◆ 症状

リンパ節の腫れ(多くは痛みを伴わない)の他に、発熱、寝汗、体重減少等がよく見られます。
リンパ節だけでなく、リンパ節以外のいろいろな場所に腫瘤ができるため、それに伴う症状がでることがあります。
- ◆ 病理診断

悪性リンパ腫はさまざまな病型があり、症状や予後が異なり、治療戦略も同じではありません。
そのため、正確な診断をつけることが重要であり、当科では臨床検査部と協力して細胞の免疫染色、フローサイトメトリー、染色体、さらに症例によっては遺伝子解析も行って、正確な病理診断の確定に努めています。
- ◆ 画像診断

体の表面の異常は、視診や触診でわかりますが、体内の病変については画像診断検査が必要になります。
CT、MRI、超音波は画像診断部と協力し行っています。
PET(ポジトロン断層撮影法:Positron Emission Tomography)は、話題の新しいがん診断装置で、悪性リンパ腫の診断に極めて有効です。
わが国では、導入されている医療機関は少なく、当科では宇都宮セントラルクリニックと協力し、検査を行っています。
- ◆ 非ホジキンリンパ腫の治療及び治療成績

- 低悪性度型
- 非ホジキンリンパ腫の15%を占めますが、最近、増加が目立ちます。
このリンパ腫は治癒が難しいものの、進行が緩やかなこともあり、種々の治療が試みられていましたが、最近まで、確立した治療法はありませんでした。
私たちは患者の症状、年令、病期(病気の進行度)にあわせ、最適と思われる治療を行ってきました。
2001年末に発売されたリツキサン(B−細胞リンパ腫細胞の表面にあるCD20に対するモノクローナル抗体)が、副作用が少なく、
高い有効率を示すことがわかり、現在ではCHOP療法(非ホジキンリンパ腫に対する標準的化学療法)との併用が標準的な治療とされつつあります。
現在、私たちもこの併用療法を標準療法としています。
非常に進行した患者さんに対してはより強力なTCC−NHL−91療法とリツキサンの併用を、巨大腫瘤がある場合は放射線療法の追加を行っています。
当センターの5年生存率は90%以上です。
- 中悪性度型
- 非ホジキンリンパ腫の80%以上を占め、悪性リンパ腫の中心的な疾患です。
平均年令は60−65才、進行した患者さんが多く、標準的治療であるCHOP療法の5年生存率は30−40%です。
そのため、最近では60才以下の進行した患者さんに対して、種々の強力な化学療法や大量化学療法 + 造血幹細胞移植が試みられており、5年生存率は50−70%が得られています。
私たちも1991年以降、早期の患者さん、進行した高齢者や合併症の多い患者さんはCHOP療法、進行した60才以下の合併症の少ない患者さんには、強力な化学療法TCC−NHL−91療法を行ってきました。
全患者さんの5年生存率約60%で、TCC−NHL−91療法は5年生存率が75%と極めて良好な成績をおさめています。
2003年9月に中悪性度型非ホジキンリンパ腫に対しても、リツキサンが使用できるようになり、TCC−NHL−91療法にリツキサンを併用し、さらに、治療成績の改善につとめています。
再発した患者さんには種々の強力な化学療法や大量化学療法 + 造血幹細胞移植を行っており、良好な成績をおさめています。
- 高悪性度型
- 急速に進行するリンパ腫で早急な治療が必要です。
患者さんが少ないため、標準的治療はなく、種々の治療が行われてきました。
最近では、急性リンパ性白血病に準じた、強力な化学療法が良好な治療成績をあげています。
- ◆ ホジキンリンパ腫の治療及び治療成績

非ホジキンリンパ腫より、予後良好で、5年生存率は80%を越えています。
早期の症例に対しては、ABVD療法と放射線療法の併用が、進行例に対しては、ABVD療法が一般的です。
予後不良群や再発例に対しては大量化学療法と造血幹細胞移植が選択されます。
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