皮膚の悪性腫瘍(皮膚癌)

 皮膚の悪性腫瘍はそのもととなる細胞によって分類されますが、それらの中でも比較的多いものは基底細胞腫、有棘細胞腫、悪性黒色腫などです。またそれらは一まとめに皮膚癌といっても、その悪性度には差があり、それを念頭において治療をしていかなければなりません。先の3種類の腫瘍の場合には基底細胞腫が最も悪性度が低く、悪性黒色腫が最も悪性で、有棘細胞腫はその中間です。皮膚の悪性腫瘍の治療は手術的に切除することが基本ですが、それに抗癌剤を使用した化学療法、免疫療法、時に放射線療法を併用するものです。治療を始めるにあたっては、先にお話ししたようにその腫瘍の種類を決めなければなりません。従ってその腫瘍の一部分を採って調べることも必要になる場合があります。また、腫瘍の種類がわかっても、その腫瘍の拡がりや他の組織に転移していないか調べる必要があり、その場合には採血やレントゲン写真、CT、MRIなどの画像診断も必要になります。皮膚悪性腫瘍ガイドラインをご参照ください。

基底細胞腫の治療

 基底細胞腫は最も悪性度が低く、他の組織に転移することは殆どありませんが、放っておくとその場所で徐々に深く浸潤していきます。従ってその治療は切除してしまうことが基本です。手術後の欠損に対しては、種々の方法で再建を行います。

有棘細胞腫の治療

 有棘細胞腫は放置すると、徐々に大きく深くなり、リンパ管や血管に沿って他の組織に転移を生じることもあります。従ってなるべく小さいうちに発見し切除することが重要ですが、万一、他の組織に転移をおこした場合には可能ならば手術的にそれらの組織を切除し、抗癌剤を使用した化学療法、放射線療法を併用することも必要です。

悪性黒色腫の治療

 悪性黒色腫は、小さな腫瘍でも他の組織に転移をおこす場合が多く、特にその腫瘍の深さが重要であるといわれています。従って他の腫瘍同様、なるべく小さいうちに発見し切除することが重要ですが、深さが深い場合にはあらかじめ、その部位の近くのリンパ節を切除したり、抗癌剤を使用した化学療法、免疫療法を併用する必要があります。また手術の後も定期的にこれらの化学療法、免疫療法を繰り返し行って、再発転移の早期発見に努める必要があります。

乳房外ページェット病の治療

 上皮内癌ですが、放置すると、徐々に大きく深くなり、癌化します。リンパ管や血管に沿って他の組織に転移を生じることもあります。上皮内癌のうちに発見し切除することが重要ですが、万一、他の組織に転移をおこした場合には可能ならば手術的にそれらの組織を切除し、補助療法を併用することも必要です。

基底細胞腫
有棘細胞腫
有棘細胞腫
悪性黒色腫
悪性黒色腫
センチネルリンパ節生検について

 皮膚悪性腫瘍手術では、主病変の切除の他に、症例によりリンパ節郭清を行っております。しかしリンパ節郭清により、浮腫やしびれなどの後遺症を来し、生活の質(QOL)を低くすることもありました。そこで、不必要な郭清手術を回避するために、癌細胞がもっとも最初に転移するリンパ節を見つけ出し、そのリンパ節の転移状況を確認する方法―センチネルリンパ節生検―が有用と考えられております。そのリンパ節に転移が無い場合は、リンパ節郭清を省略出来る可能性があります。一方リンパ節の腫脹がないため経過を見た場合、後にリンパ節転移が明らかになる場合があります。このような症例ではセンチネルリンパ節生検を行うことで早期の段階でリンパ節郭清が可能となります。
 この方法は、欧米にて悪性黒色腫の転移リンパ節を確認し不必要な郭清手術を省略する目的で開発されました。当科でも学内倫理委員会の承認を得て開始しております。

§主な業績
*Iida H, Hata Y. Squamous Cell Carcinoma Arising in an Epidermal Cyst in the Buttock. 日本形成外科学会会誌 2004; 24: 423-426
*梅田 整、横山明子,山本藤香, 江原亜希, 秦 維郎/ 基底細胞癌の統計的検討. 日本形成外科学会会誌 2003; 23: 550-555
*森 弘樹、梅田 整, 菅野弘之,秦 維郎. 皮膚有棘細胞癌の予後についての検討. 日形成外科学会会誌 2003; 23: 95-99
*梅田 整、秦 維郎、横山明子、鈴木真澄. 悪性黒色腫腫瘍死・担癌例の検討. 日本形成外科学会会誌22: 20-24, 2002
*梅田 整、秦 維郎、飯田秀夫、森 弘樹、田中和行、鈴木真澄. 悪性黒色腫に対するDAC-Tam療法の検討. Skin Cancer 2001; 16: 255-261
*梅田整、秦維郎、飯田秀夫、他: 鼡径リンパ節郭清術術後皮弁壊死について. Skin Cancer 2000; 15: 154-158
*Umeda T,Aoki K,Yokoyama A,Ohara H,Hayashi O,Tanaka K,Nishioka K. Changes in Immunological Paramenters after Combination Adjuvant Therapy with Intravenous DTIC,ACNU,and Local Injecton of IFN- β(DAV+IFN -ββTherapy) into Malignant Melanoma. J Dermatol 25:569-572

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