TCC 栃木県立がんセンター

■ 診療情報のご紹介 血液グループ

当科で取り扱う主な疾患

〜 白血病 〜 について 悪性リンパ腫
多発性骨髄腫

白血病

  定義

 白血病は血液細胞を作る細胞(白血球、赤血球、血小板)が骨髄の中でがん化して無制限に自律性の増殖をする疾患です。
  種類

 白血病は臨床経過、細胞の種類により、急性白血病と慢性白血病に分類され、それぞれ骨髄性白血病、リンパ性白血病に大別されます。
  頻度

 年間発症数は人口10万人当り約5人(男6人、女4人)、急性白血病と慢性白血病の比は約4:1、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の比は、成人で約4:1(小児では約1:4)です。 慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病の比は9:1です。
  急性白血病

症状
 正常の血液細胞の白血球、赤血球、血小板が減少するため、感染症、全身倦怠感、動悸、出血などが主な症状です。 白血病細胞が増えたために起こる症状として肝脾腫、骨痛、関節痛、歯肉腫脹、腫瘤形成、髄液中の白血病浸潤による嘔吐、頭痛などがあります。 急性白血病は急性に経過し、未治療なら数ヵ月内に死の転帰をとります。
診断
 上記のような症状があった場合、血液検査、骨髄検査を施行します。 FAB(French-American-British)分類では白血病細胞が30%以上(新WHO分類では20%以上)あった場合急性白血病と診断し、白血病細胞が30%未満の骨髄異形成症候群と区別します。 年齢、白血病細胞の表面マーカー、染色体、遺伝子などの検査により治療方針を決定します。
治療
 急性白血病の治療は、抗がん剤による化学療法(多剤併用療法)が中心です、予後不良の症例には造血幹細胞移植法が行われます。

(1) 化学療法、放射線療法
 治療の第一目標は完全寛解に導入することです。 完全寛解とは骨髄の白血病細胞が5%以下になり、末梢血が正常に戻り、白血病による症状もなくなった状態をいいます。 完全寛解後も残存白血病細胞を根絶するためにさらに治療を繰り返し、治療期間は1〜5年かかります。
 当センターでは原則として無菌室で治療しています。 急性骨髄性白血病は全国の血液専門施設で構成している日本成人白血病グループ(JALSG)に登録し治療を行っています。 骨髄性白血病(シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、エノシタビン、6-メルカプトプリンなど) とリンパ性白血病(シクロホスファミド、メトトレキサート、ビンクリスチン、プレドニゾロン、ダウノルビシンなど)に用いられる抗がん剤は多少異なります。 特殊な治療として急性前骨髄性白血病(M3)に対するレチノイン酸(all-trans retinoic acid)があります。 また中枢性白血病や中枢再発予防として抗がん剤(メトトレキサート、プレドニゾロン、シタラビン)の髄腔内注入、放射線療法を行います。 腫瘤形成の白血病や移植の前処置として全身照射を行うこともあります。

(2) 造血幹細胞移植
 造血幹細胞移植は通常の化学療法では治る確率が低いと考えられる場合に行われます。 高齢者、臓器障害のある患者にも可能なミニ移植という方法も注目されています。 当センターでは骨髄バンクの移植認定施設になっていないため、同胞間移植を行ない認定施設加入を目指しているところです。
予後
 急性骨髄性白血病全体の完全寛解率は60%から80%、5年生存率は20%から30%です。 急性前骨髄性白血病は初期の出血傾向を乗り切れれば50%以上が治癒します。 当科の全患者の5年生存率は約30%です。 成人の急性リンパ性白血病の完全寛解率は65%から85%と高いものの(当センターでは90%)、5年生存率は約25%(当センターでは35%)に過ぎません。 特にt(9;22)は非常に予後が悪く同種造血幹細胞移植でも長期生存が困難とされており、新薬グリベック(保険適応外)が期待されています。
  慢性骨髄性白血病

 発症の経過は緩慢で、多能性造血幹細胞レベルでの異常に基づく疾患です。 放置すれば長期的には急性白血病化(急性転化)し死亡します。 急性転化には骨髄性とリンパ性があります。
症状
 慢性期では多くの場合無症状です。健康診断など偶然に発見されることもあります。 また脾臓が腫大し、腹部膨満感もみられます。 急性転化で発見されることもあり、この時は急性白血病と同様の症状が出現します。
診断
 重要なのはt(9;22)、bcr/abl融合遺伝子の確認を行うことです。 脾臓の腫大の程度をみるために、腹部超音波あるいは腹部断層撮影の検査も行います。
治療
 最近までハイドロキシウレア、インターフェロンが広く用いられてきましたが、最近、グリベックが登場し治療戦略が変化しました。 グリベックは慢性骨髄性白血病の原因であるbcr/ablが作る蛋白であるチロシンキナーゼを特異的に阻害する薬剤で、多くの患者さんで細胞、遺伝学的寛解が得られています。 この薬剤の出現により同種造血幹細胞移植が激減しました。 当科でもグリベックを使用しており、同様の成績を得ています。 しかし長期的効果が今後の課題です。 急性転化に移行した場合にはその効果は限られています。
  慢性リンパ性白血病

 急性リンパ性白血病が未熟なリンパ球が増加するのに比し、慢性リンパ性白血病は通常、成熟したリンパ球が著しく増加した状態をいいます。
症状
 一般的にはリンパ節腫脹や肝脾腫が認められますが、症状はあまりみられず偶然に発見されることもあります。 免疫力が低下し感染症を合併することもあります。
治療
 症状の経過はまちまちで、無症状の場合(Rai分類のI、II期)は治療を行わず経過観察し、III、IV期で治療を開始します。 化学療法はシクロフォスファミドやステロイドホルモン剤などが主体でしたが、極めて有効とされる新薬フルダラビンの出現によりフルダラビンが広く使用されるようになっています。

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