本白血病の化学療法は副腎皮質ホルモン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、シクロフ ォスファミド、アスパラギナーゼを中心とする併用療法により完全寛解導入を目指します。 小児急性リンパ性白血病の95%、成人急性リンパ性白血病の70-80%が完全寛解に到達 します。その後、メソトレキセート脊髄腔内注射や頭蓋放射線照射による中枢神経白血病 予防を行います。そして、導入療法と同じ薬剤やこれらとは交差耐性のない薬剤を併用し て地固め療法を3コース行い、さらに6メルカプトプリンとメソトレキセートを中心とする維持療法を約 2年間行います。小児では標準リスク群の80%以上、高リスク群の60%以上を治癒できる ようになりましたが、成人では化学療法に難反応性のフィラデルフィア(Ph)染色体陽性白血病が 多いこともあって、完全寛解例の30%程度にしか治癒が得られません。ただし、年齢30歳 未満、初診時の白血球数30,000/μL 未満でPh染色体を持たない予後良好群では50%以上が 治癒可能です。成人のPh染色体陽性急性リンパ性白血病は造血幹細胞移植療法を行っても治癒 させることは困難です。
しかし、ごく最近、後で慢性骨髄性白血病の所で述べますが、 Ph染色体陽性白血病の原因となっている異常融合遺伝子bcr/ablが作るチロシン・キナー ゼ活性を特異的に阻害するイマチニブが開発されました。しかし残念ながら日本 では2004年現在、急性リンパ性白血病には保険適用がなく使用する訳には行きま せんが、現在10施設で治験が実施されていますし、Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG)では、厚生労働省科学研究費補助金(効果的医療技術の確立推進臨 床研究事業)の援助を受けて初発のPh染色体陽性急性リンパ性白血病を対象に、他 の薬との併用による多施設共同研究をしています。治療成績は予想どおり良好で あり、かつては極めて難治性であったPh染色体陽性急性リンパ性白血病の治療成 績が大いに向上するものと期待されています。 JALSG参加施設をJALSGのホ-ムペー ジhttp://miwa.hama-med.ac.jp/jalsg/で調べていただければ、条件の合う未治療の患者さんはイマチニブによる治療が受けられます。