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がん Info

「がんInfo.」は、米国国立がん研究所(National Cancer Institute : NCI)のがん情報(*PDQ)の患者さん向け情報を、NCI承認のもと国際医学情報センターの責任で翻訳し提供しております。93項目中、40項目がご覧になれます。
小児脳/脊髄腫瘍

概説

このセクションの要点
  • 小児脳/脊髄腫瘍とは脳/脊髄の組織内に異常な細胞が生じる病気です。
  • 脳は多くの重要な身体機能を制御しています。
  • 脊髄は全身の大部分の神経と脳をつないでいます。
  • 脳/脊髄腫瘍は一般的な小児がんです。
  • 様々な種類の小児脳/脊髄腫瘍があります。
    • 星状細胞腫
    • 非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍
    • 脳幹グリオーマ
    • 中枢神経系胎児性腫瘍
    • 中枢神経系胚細胞腫瘍
    • 頭蓋咽頭腫
    • 上衣細胞腫
    • 髄芽腫
    • 脊髄腫瘍
    • テント上原始神経外胚葉性腫瘍
    • 視経路および視床下部グリオーマ
  • 小児脳/脊髄腫瘍はそのほとんどが原因不明です。
  • 小児脳/脊髄腫瘍の症状はすべての患児で同様とは限りません。
  • 小児脳/脊髄腫瘍を発見し、診断するために脳、脊髄を調べるための検査が用いられます。
  • ほとんどの小児脳腫瘍が診断され、手術により摘出されます。
  • ある種の小児脳/脊髄腫瘍は画像検査により診断されます。
  • 諸条件により予後(治癒の可能性)が変わります。

小児脳/脊髄腫瘍とは脳/脊髄の組織内に異常な細胞が生じる病気です。

小児脳/脊髄腫瘍には多くの種類があります。腫瘍は細胞の異常な増殖により生じ、脳や脊髄の様々な部位に発生することがあります。腫瘍は良性(非がん性)または悪性(がん性)の場合があります。

脳と脊髄はともに中枢神経系(CNS)を構成しています。

脳は多くの重要な身体機能を制御しています。

脳は主に3つの部分から構成されています:
  • 頭部の上方に位置する大脳は、脳の最も大きな部分を占めています。大脳は思考、学習、問題解決、感情、会話、読み書き、随意運動を制御します。
  • 脳の後方下側(頭部の後方中間部)に位置する小脳は、運動、バランス、姿勢を制御します。
  • 脳の最も下方(頸部の後方真上)に位置する脳幹は脊髄と脳とをつないでいます。脳幹は呼吸、心拍数の調整、見る、聞く、歩く、話す、食べるなど基本的動作に必要となる神経や筋肉を制御します。

脊髄は全身の大部分の神経と脳をつないでいます。

脊髄は脳幹から背側中央に走る神経組織腔で、膜と呼ばれる3つの薄い組織層により覆われています。これらの膜は脊椎(背骨)により囲まれています。脊椎神経は脳からの信号を伝えて筋肉を動かす、皮膚からの触覚について脳まで伝えるなど、脳と他の身体との間で情報を伝達します。

脳/脊髄腫瘍は一般的な小児のがんです。

小児ではがんは稀ですが、脳/脊髄腫瘍は、白血病、リンパ腫に次いで3番目に多い一般的な小児がんです。脳腫瘍は小児と成人の両方に発生することがあります。小児に対する治療法は通常、成人に対する治療法とは異なっています(詳しい情報は、PDQの成人の脳腫瘍 の治療に関する項目を参照してください)。
この要約では、原発性脳/脊髄腫瘍(脳、脊髄から生じた腫瘍)の治療法について記載しています。身体の他の部分に発生したがん細胞が脳または脊髄まで拡がって生じる腫瘍である転移性脳/脊髄腫瘍の治療法については、本要約には記載されていません。

様々な種類の小児脳/脊髄腫瘍があります。

小児脳/脊髄腫瘍は生じた細胞の種類と腫瘍が最初に発生したCNSの部位に応じて呼ばれます。

星状細胞腫

小児星状細胞腫は星状細胞と呼ばれる細胞に発生する腫瘍で、腫瘍は悪性度(グレード)の高い場合と悪性度の低い場合があります。腫瘍の悪性度は、がん細胞が顕微鏡下でどの程度異常にみえるか、腫瘍がどの程度迅速に増殖し拡がるかを表現しています。高悪性度星状細胞腫は迅速に増殖する悪性腫瘍であり、一方、低悪性度星状細胞腫は緩徐に増殖し、悪性である可能性が少ない腫瘍です(詳しい情報は、PDQの小児小脳星状細胞腫*の治療、小児大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ*の治療、小児視経路および視床下部グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍

小児非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍は迅速に増殖する腫瘍で、小脳に頻繁に生じます。脳の他の部位や脊髄に生じることもあります。

脳幹グリオーマ

小児脳幹グリオーマは脳幹(脊髄とつながっている脳の一部)に生じます。(詳しい情報は、PDQの小児脳幹グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

中枢神経系胎児性腫瘍

小児CNS胎児性腫瘍は胎児が発達し始める際に脳、脊髄細胞に生じます。次のような種類の腫瘍があります:
  • 上衣芽細胞腫
  • 髄芽細胞腫
  • 髄上皮細胞腫
  • 松果体実質腫瘍
  • 松果体芽腫
  • テント上原始神経外胚葉性腫瘍(SPNET)
(詳しい情報は、PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

中枢神経系胚細胞腫瘍

小児CNS胚細胞腫瘍は胚細胞(精子や卵子(卵)に発達する細胞)に生じます。胚芽腫、胎児性卵黄嚢腫瘍、絨毛がん、奇形腫など、様々な種類の小児胚細胞腫瘍があります。混合性胚細胞腫瘍では腫瘍内に2種類の胚細胞腫瘍がみられます。胚細胞腫瘍は良性または悪性の場合があります。

胚細胞脳腫瘍は通常、脳中央部の松果体付近に生じます。松果体は脳内にある非常に小さな器官で、睡眠・覚醒サイクルの制御に関与するメラトニンを産生します。胚細胞腫瘍は脳の他の部位や脊髄まで拡がることがあります。

頭蓋咽頭腫

小児頭蓋咽頭腫は通常、下垂体の真上に生じる腫瘍です。下垂体は鼻の背後に位置する脳中央部にあり、ほぼエンドウ豆大で、成長など多くの重要な身体機能を制御します。頭蓋咽頭腫は稀に拡がり、下垂体など脳の重要な領域に影響を及ぼすことがあります。

上衣細胞腫

小児上衣細胞腫は緩徐に増殖する腫瘍で、脳、脊髄中の体液で満たされた腔に並んでいる細胞中に生じます。(詳しい情報は、PDQの小児上衣細胞腫*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

髄芽細胞腫

小児髄芽細胞腫は小脳に生じます。(詳しい情報は、PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

脊髄腫瘍

様々な種類の細胞の腫瘍が脊髄内に生じる可能性があります。通常、悪性度の低い脊髄腫瘍は拡がりません。悪性度の高い脊髄腫瘍は脊髄、脳の他の部位まで拡がることがあります。

テント上原始神経外胚葉性腫瘍

小児テント上原始神経外胚葉性腫瘍(SPNET)では小脳内に未成熟細胞が生じます。(詳しい情報は、PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

視経路および視床下部グリオーマ

小児視経路および視床下部グリオーマは脳の視経路および視床下部内に生じます。視経路には視神経、視交叉、視索が含まれます。視経路は目からの情報を脳へ、脳からの情報を目に伝えます。視床下部は体温、飢餓や渇きを制御する脳の領域です(詳しい情報は、PDQの小児視経路および視床下部グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください)。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児脳/脊髄腫瘍はそのほとんどが原因不明です。

小児脳/脊髄腫瘍の症状はすべての患児で同様とは限りません。

小児脳/脊髄腫瘍によって、頭痛や他の症状がみられることがあります。他の状況によっても同じ症状がみられます。以下の症状が1つでもみられた際は医師の診察を勧めます:
脳腫瘍:
  • 朝方に起こる頭痛や嘔吐すると治まる頭痛。
  • 頻繁な悪心・嘔吐。
  • 視力、聴力、会話障害。
  • 平衡感覚の喪失、歩行困難。
  • 異常な眠気や活動水準の変化。
  • 痙攣発作。
  • (幼児では)頭の大きさの増大。
脊髄腫瘍:
  • 背部痛または背部から上肢・下肢にかけて拡がる疼痛。
  • 排便習慣の変化や排尿障害。
  • 下肢の脱力感。
  • 歩行障害。
脳/脊髄腫瘍のこれらの症状に加えて、何人かの小児では起床、歩行、文章での会話能力など特定の成長や発達指標まで達しないことがあります。

小児脳/脊髄腫瘍を発見し、診断するために脳、脊髄を調べるための検査が用いられます。

以下の検査や手法が用いられます:
  • 身体所見および既往歴:全身を調べて、何か異常にみえるものなど疾患徴候を含めた一般的健康状態をチェックします。また患者さんのこれまでの生活習慣や過去の疾患および治療の病歴についても調べます。
  • 神経学的検査:一連の質問票や検査から脳、脊髄、神経機能を調べます。検査では患者さんの精神状態、協調性、正常に歩行可能か、筋肉、感覚、反射がどの程度良好に機能しているかを調べます。神経学的テスト、神経(機能)検査と呼ばれることもあります。
  • 血清腫瘍マーカー検査:身体中の器官、組織、がん細胞によって放出されるある物質の量を測定するために、血液サンプルを調べる手法です。ある物質の血液中の値が上昇している場合、特定のタイプの腫瘍と関連しています。これらは腫瘍マーカーと呼ばれています。
  • ガドリニウム増強MRI(核磁気共鳴画像法):磁石、電磁波およびコンピュータを用いて脳、脊髄の一連の詳細な画像を撮影する方法です。ガドリニウムと呼ばれる物質を静脈から注入します。ガドリニウムはがん細胞の周囲に集積し、画像がより明瞭に示されます。この方法はまた核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれています。
  • CTスキャン(CATスキャン):いろいろな角度から体内の詳細な像を連続的に撮影します。像はX線撮影装置と連動したコンピュータにより作られます。造影剤を静脈内に注入するか飲み込むと、臓器や組織がより明瞭に示されます。この方法はまたコンピュータトモグラフィー、コンピュータ断層撮影法、またはコンピュータ体軸断層撮影法とも呼ばれます。
  • 血管造影:脳内の血管、血流を調べる方法です。造影剤を血管に注入します。造影剤が血管内を移動する際に、X線を撮って障害物がないかどうか調べます。
  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影): 体内にある悪性腫瘍細胞をみつけるための手法です。少量の放射性核種グルコース(糖)を静脈内に注入します。PETスキャナーが体の周囲を回転してグルコースが体内で利用されている部分の像を撮影します。悪性腫瘍細胞は正常細胞よりも活発で、グルコースをより多く吸収することから、像はより明るく示されます。

ほとんどの小児脳腫瘍が診断され、手術により摘出されます。

医師は脳腫瘍が疑われる場合、組織サンプルを摘出して生検を行うことがあります。脳内の腫瘍に対して、頭蓋の一部を開頭し、針を用いて脳組織サンプルを摘出することにより生険が行われます。病理医は組織を顕微鏡下で観察し、がん細胞があるかどうかを調べます。がん細胞が認められた場合、医師は同手術中に安全に摘出可能な量の腫瘍を摘出します。病理医は腫瘍の種類と悪性度を明らかにするためがん細胞を調べます。腫瘍の悪性度はがん細胞が顕微鏡下でどの程度異常にみえるか、腫瘍がどのていど迅速に増殖し拡がると思われるかに基づいています。
摘出した組織サンプルについて次のような検査が行われます:
  • 免疫組織化学的検査:がん組織サンプルに抗体、染色液、放射性同位体などの物質を添加して特定の抗原について調べるための臨床検査です。この種の検査は異なる種類のがんにおける相違を見分けるために用いられます。
  • 光学および電子顕微鏡:細胞内の特定の変化を調べるため、標準的および高性能顕微鏡下で組織サンプル中の細胞を観察する臨床検査です。
  • 細胞遺伝学的分析:組織サンプル中の細胞を顕微鏡下で観察し、染色体中の特定の変化を調べる臨床検査です。

ある種の小児脳/脊髄腫瘍は画像検査により診断されます。

腫瘍が脳、脊髄内に生じた場所により、時に生検、手術を安全に行うことができないことがあります。これらの腫瘍は画像検査や他の検査結果に基づいて診断されます。

諸条件により予後(治癒の可能性)が変わります。

予後(治癒の可能性)は以下の条件によって異なります:
  • 手術後に何らかのがん細胞が残存しているかどうか。
  • 腫瘍の種類。
  • 腫瘍の部位。
  • 患児の年齢。
  • 診断されたばかりのがんか、再発(再燃)したがんかどうか。


病期

このセクションの要点
  • 小児脳/脊髄腫瘍では、治療選択肢はいくつかの要因によって異なります。
  • 腫瘍のリスク群を明らかにするため、小児脳/脊髄腫瘍を発見し、診断するために行われた検査や手法から得られた情報が用いられます。
  • がんは3通りの方法により身体に拡がります。

小児脳/脊髄腫瘍では、治療選択肢はいくつかの要因によって異なります。

がんが脳、脊髄内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べるために行われる検査を「病期診断」といいます。治療計画を立てるために病期を把握することは重要です。
小児脳/脊髄腫瘍では、標準的病期分類体系はありません。がんの治療計画はいくつかの要因により異なります:
  • 腫瘍の種類および腫瘍が脳内に生じた部位。
  • 診断されたばかりのがんか、再発(再燃)したがんかどうか。新たに診断された脳/脊髄腫瘍はこれまで1度も治療が行われていない腫瘍です。再発性小児脳/脊髄腫瘍は治療後に再び生じた(再燃)腫瘍です。小児脳/脊髄腫瘍は、同じ部位や脳、脊髄の別の部位に再発することがあり、時に身体の他の部位に再発することもあります。また腫瘍は最初に治療されてから数年後に再発することがあります。腫瘍が再発かどうかを明らかにするために、腫瘍を診断し、病期を明らかにするために行われる生検などの検査や手法が行われることがあります。
  • 腫瘍の悪性度。腫瘍の悪性度はがん細胞が顕微鏡下でどの程度異常にみえるか、腫瘍がどの程度迅速に増殖し拡がるかと思われるかにより異なります。腫瘍の悪性度および手術後に何らかのがん細胞が残存しているかどうかを把握することは、治療計画を立てるうえで重要です。腫瘍の悪性度は全ての種類の脳/脊髄腫瘍の治療計画に対して用いられるわけではありません。
  • 腫瘍のリスク群。リスクは平均リスク・不良リスク群または低リスク・中等度リスク・高リスク群のいずれかに分類されます。リスク群は手術後に残存する腫瘍の量、がん細胞が脳、脊髄内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているか、腫瘍が生じた部位、患児の年齢に応じて分類されます。リスク群は全ての種類の脳/脊髄腫瘍の治療計画に対して用いられるわけではありません。

腫瘍のリスク群を明らかにするため、小児脳/脊髄腫瘍を発見し、診断するために行われた検査や手法から得られた情報が用いられます。

手術により腫瘍を摘出した後に、腫瘍のリスク群を明らかにするため、小児脳/脊髄腫瘍を発見するために行われた検査や手法のいくつかが再度行われます(概説の項目を参照)。これらは手術後にどの程度腫瘍が残存しているかを調べるためのものです。がんが拡がっているかどうかを調べるために他の検査や手法が行われることもあります。
  • 腰椎穿刺:脊柱から脳脊髄液を採取するために用いられる手法です。これは脊柱に針を挿入することで行われます。腰椎穿刺は通常、小児脊髄腫瘍の病期診断に対しては用いられません。この手法はLPまたは脊髄穿刺とも呼ばれます。
  • 骨スキャン:骨にがん細胞のように迅速に分裂する細胞があるかどうかを調べる方法です。非常に少量の放射性物質は静脈内に注入された後、血流中を移動します。放射性物質は骨中に蓄積され、スキャナーによって検出されます。
  • 胸部X線:胸郭内の器官や骨のX線像です。X線とは体内を通過してフィルム上まで達し、体内を撮影することができるエネルギービームの一種です。
  • 骨髄吸引:寛骨または胸骨に針を挿入して骨髄、血液および骨の小片を摘出します。病理医がその骨髄、血液および骨を顕微鏡下で観察し、がんの徴候を調べます。

がんは3通りの方法により身体に拡がります。

がんは3通りの方法により身体に拡がります:
  • 組織を介して、がんは周囲の正常な組織に浸潤します。
  • リンパ系を介して、がんはリンパ系に浸潤し、リンパ管または血液を通って身体の他の部位まで移動します。
  • 血液を介して、がんは静脈、毛細管に浸潤し、血液を通って身体中の他の部位まで移動します。
がん細胞が原発(初発)腫瘍から離れて、リンパ管または血液を通って身体中の他の部位まで移動する場合、第2の(二次性の)腫瘍が生じることがあります。この過程は転移と呼ばれます。二次性(転移性)腫瘍は原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳癌が骨に拡がった場合、骨内のがん細胞は実際には乳がん細胞です。疾患は骨腫瘍ではなく転移性乳がんです。

再発性小児脳/脊髄腫瘍

再発性小児脳/脊髄腫瘍とは治療後に再び生じた(再燃)がんのことをいいます。小児脳/脊髄腫瘍は、同じ部位や脳、脊髄の別の部位に再発することがあり、時に身体の他の部位に再発することもあります。また腫瘍は最初に治療されてから数年後に再発することがあります。腫瘍が再発かどうかを確認するために、腫瘍を診断し、病期を明らかにするために行われる生検などの検査や手法が行われることがあります。


治療法の概要

このセクションの要点
  • 脳/脊髄腫瘍の小児に対して様々な種類の治療法があります。
  • 脳/脊髄腫瘍の小児に対して小児脳/脊髄腫瘍治療の専門家である医療提供者チームにより治療計画が立てられるべきです。
  • 小児脳/脊髄腫瘍では診断前より出現し数ヶ月〜数年間持続する症状が誘発されることがあります。
  • いくつかのがん治療では、治療終了から数ヶ月〜数年後に副作用が誘発されることがあります。
  • 3種類の標準的治療法が用いられます:
    • 手術療法
    • 放射線療法
    • 化学療法
  • 新しいタイプの治療法は現在、臨床試験で検証中です。
    • 幹細胞移植を併用した大量化学療法
  • 臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。
  • 患者さんはがんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に臨床試験に参加することができます。
  • フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

脳/脊髄腫瘍の小児に対して様々なタイプの治療法があります。

脳/脊髄腫瘍の小児に対して各種治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療法についての臨床試験は現在行われている治療法の改善やがん患者さんに対する新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的と考えられている治療法よりも新しい治療法が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。
小児におけるがんは稀であるため、臨床試験への参加は慎重に検討すべきです。臨床試験はアメリカ国内のいろいろなところで実施されています。いくつかの臨床試験は治療を始めていない患者に対してのみ開かれています。

脳/脊髄腫瘍の小児に対して小児脳/脊髄腫瘍治療の専門家である医療提供者チームにより治療計画が立てられるべきです。

治療は小児腫瘍医(小児のがん治療を専門とする医師)が統括することになります。小児腫瘍医は脳腫瘍の小児の治療に精通した他の医療提供者や特定の医療分野を専門とする医療提供者と連携して治療に当たることがあります。以下のような専門家があげられます:
  • 神経外科医
  • 神経内科医
  • 神経腫瘍医
  • 神経病理医
  • 放射線腫瘍医
  • 内分泌科医
  • 心理師
  • 眼科医
  • リハビリテーション専門師
  • ソーシャルワーカー
  • 看護専門師

小児脳/脊髄腫瘍では診断前より出現し数ヶ月〜数年間持続する症状が誘発されることがあります。

小児脳/脊髄腫瘍では数ヶ月〜数年間持続する症状が誘発されることがあります。腫瘍によって誘発される症状は診断前に出現することがあります。治療により誘発される症状は治療中または治療終了直後に出現することがあります。

いくつかのがん治療では、治療終了から数ヶ月〜数年後に副作用が誘発されることがあります。

これらは晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には次のようなものがあります:
  • 身体的問題。
  • 気分、感情、思考、学習能力、記憶力の変化。
  • 二次がん(別の種類のがん)。
晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。親は子供が受ける可能性のあるがん治療の影響について主治医に相談することが重要です(詳しい情報は、PDQの小児がん治療の晩期障害*に関する項目を参照してください)。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

3種類の標準的治療法が用いられます:

手術療法
このまとめのセクションの概説の項目に記載しているように、手術療法は小児脳/脊髄腫瘍を診断し、治療するために用いられます。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺すがん治療のことです。放射線療法には2つの種類があります。外照射は体外の機会を用いてがんに放射線を照射する治療法です。腔内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。
脳への放射線療法は幼児の成長や発達に影響することがあります。このため、臨床試験では放射線療法の開始時期を遅らせ、照射量を減少し、必要性をなくすために化学療法を用いる方法を研究しています。また健常な脳組織への損傷を軽減する方法を用いた放射線療法が行われます。定位放射線治療は付近の健常組織への損傷をより少なくするため固定用頭部フレームを頭蓋に装着し、腫瘍に直接高線量の放射線を照射する放射線療法です。
これはまた定位放射線手術、放射線手術とも呼ばれます。この手法は手術療法には含まれません。
放射線療法の方法は治療されているがんの種類や病期によって異なります。
化学療法
化学療法は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に影響することができます(全身化学療法)。脊柱、臓器、腹腔などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。化学療法の方法は治療されているがんの種類や病期によって異なります。
脳/脊髄腫瘍を治療するため経口または静注により投与される抗癌剤は、血液-脳関門を通過することができず、脳や脊髄をとりまく体液中にはいり込みます。これとは別に、存在しているがん細胞を殺すため、体液で満たされた腔内に抗がん剤が注入されます。これは髄注化学療法と呼ばれます。

新しいタイプの治療法は現在、臨床試験で検証中です。

このまとめのセクションでは、現在臨床試験を行っている治療法について個々に触れますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。

幹細胞移植を併用した大量化学療法

幹細胞移植を併用した大量化学療法は、非常に大量の化学療法を行った後、がん治療により破壊された造血細胞を置き換える方法です。幹細胞(未成熟血液細胞)を患者またはドナーの血液または骨髄から取り出して冷凍保存します。化学療法終了後に、保存された幹細胞を解凍し、注入により患者に再び戻します。再注入されたこれらの幹細胞は短時間で成長し、身体の血液細胞を回復させます。

臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。

何人かの患者さんにおいて、臨床試験に参加することは最良の治療選択であるかもしれません。臨床試験はがんの研究過程の1つです。臨床試験は新たな治療法が標準的な治療法より安全で有効であるかを見つけ出すために行います。

がんに対する今日の標準的な治療法の多くは早期の臨床試験を基本にしています。臨床試験に参加する患者は標準的な治療を受けるか、初めて新しい治療を受けることになるかもしれません。

また、臨床試験に参加する患者さんは未来のがん治療法の改良を助けます。新しい治療法の臨床試験が有効性を示さなくても、しばしば重要な疑問の答えとなり、研究が前進するのを助けます。

患者さんはがんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に臨床試験に参加することができます。

いくつかの臨床試験はまだ治療を受けていない患者さんを対象としています。他の試験はがんが回復していない患者に対する治療を評価します。がんが再発する(再起する)のを止めるか、がん治療の副作用を軽減する新しい方法を評価する臨床試験もあります。

臨床試験はアメリカ国内のいろいろなところで実施されています。治療法の項で、現在の治療法の臨床試験へのリンクを参照してください。それらはNCIの臨床試験データベースから取り出されます。

フォローアップ検査が必要になるかもしれません。

がんを診断するために行われた、あるいはがんの病期をみつけるために行われた検査が繰り返されるかもしれません。いくつかの検査は治療がどれぐらいよく効いているかをみるために行われるでしょう。治療を続ける、変更するか止めるかどうかの判断がこれらの検査結果を基に行われるかもしれません。これらは時に再病期診断と呼ばれます。

いくつかの検査は治療が終わった後に時々継続して行われるでしょう。これらの検査結果は状態が変化したかどうか、またはがんが再発(再起)したかを示すことができます。これらの検査は時々、フォローアップ検査、または定期検査と呼ばれます。

病期別治療法

現在行われている臨床試験の検索結果へのリンクはそれぞれの治療の項目に含まれています。いくつかのがんの種類や病期に対しては、試験がないかもしれません。リストに載っていない臨床試験をあなたの主治医とチェックすることは、あなたにとって正しいかもしれません。

小児星状細胞腫

小児星状細胞腫には低悪性度、高悪性度星状細胞腫が含まれます。PDQの小児大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ*の治療、小児小脳星状細胞腫*の治療、小児視経路および視床下部グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください)。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児脳幹グリオーマ

PDQの小児脳幹グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児中枢神経系胎児性腫瘍

小児中枢神経系(CNS)胎児性腫瘍には上衣芽細胞腫、髄芽細胞腫、髄上皮細胞腫、松果体実質腫瘍、松果体芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍が含まれます(詳しい情報は、PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照してください)。

現在、米国で小児胎児性腫瘍の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryのサイトから確認してください。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児中枢神経系胚細胞腫瘍

小児CNS胚細胞腫瘍の治療法は次のようなものがあります:
  • 通常、全脳および脊椎への放射線療法
  • 化学療法
現在、米国で小児中枢神経系胚細胞腫瘍の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから確認してください。

小児頭蓋咽頭腫

小児頭蓋咽頭腫の治療法には次のようなものがあります:
  • 手術療法および/または腔内照射、外照射または定位放射線治療などの放射線療法
  • 局所化学療法
現在、米国で小児頭蓋咽頭腫の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから確認してください。

小児上衣細胞腫

PDQの小児上衣細胞腫*の治療に関する項目を参照してください。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児髄芽細胞腫

PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照してください。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児脊髄腫瘍

小児脊髄腫瘍の治療法には次のようなものがあります:
  • 放射線療法併用・非併用での手術療法
  • 化学療法(乳児に対して、化学療法は低悪性度腫瘍に対してのみ行われる)
現在、米国で小児脊椎腫瘍の患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから確認してください。

小児テント上原始神経外胚葉性腫瘍および松果体芽細胞腫

詳しい情報は、PDQの小児中枢神経系胎児性腫瘍*の治療に関する項目を参照して下さい。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

小児視経路および視床下部グリオーマ

詳しい情報は、PDQの小児視経路および視床下部グリオーマ*の治療に関する項目を参照してください。
(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

※このがん情報は米国国立がん研究所で作成されていますので、日本の状況と多少異なる点もあります。それらについては医師にご相談下さい。
(2008年09月更新)


※このがん情報は米国国立がん研究所で作成されていますので、日本の状況と多少異なる点もあります。それらについては医師にご相談下さい。
※このサービスは米国国立がん研究所(NCI、http://www.cancer.gov/)のがん情報の一部をNCIの承認の元に(財)国際医学情報センターの責任で翻訳、提供しています。
※無断転載禁ず。