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分類ごとの病気の概論 - 肝臓・胆嚢・膵臓の病気

肝臓・胆嚢・膵臓の病気

関連している肝・胆・膵

 肝臓、胆嚢、膵臓はそれぞれ異なった臓器です。しかし、これらの3つの臓器はつながりになっていて、それぞれ関連しています。
 たとえば、肝臓でつくられた胆汁という液体は胆嚢に貯えられたあと、総胆管という管を介して十二指腸に入ります。十二指腸には食物が胃を介して入って来ていて、ここで総胆管から来た胆汁および膵臓から膵管を介して排出された膵液と合流して、食物の吸収、排泄に役立ちます。
 したがって、病気もしばしばこの3つの臓器が関連して生じることがあります。
 これらの臓器はそれぞれ異なった役割を果たしてもいます。たとえば、肝臓は約1200gの大きな臓器で、「沈黙の臓器」といわれ、症状が現れにくいものです。また、膵臓も病気の種類によっては、その位置する所が深部であり、膵がんなどは時に症状が現れにくいのです。
 一方、胆嚢は腹部の比較的浅い所に存在し、しばしば激しい疼痛などの症状を来します。
 したがって、肝・胆・膵の症状の発現のみに頼って診断が可能な病気には限りがあります。やはり病気を理解することによって積極的・定期的に医療機関を受診する必要性があります。

肝臓の病気

 肝臓病は病気の原因の解明が進み、その病気に関する常識や治療法はこの10年で大きく様変わりしました。すなわち、肝がんの9割以上が肝炎ウイルスによって引き起こされることがわかり、その肝炎ウイルスにはいくつかの種類があり、生じる病気のパターンも異なることが明らかになりました。
 B型肝炎ウイルスは、すでに40年ほど前に発見されており、予防のワクチンも開発され、現在感染の主因である母子感染もワクチン接種により、将来は日本でほとんど存在しなくなることが考えられます。
 しかし、C型肝炎についてはワクチンの開発には至っておらず、しかも肝がんの8割(B型は現在は少なくなって約1割)の原因であることから、日本の肝臓病は、このC型ならびにB型肝炎の患者さんをいかに治療するかということが最大の目標となっています。
 かつてはアルコール性と思われていた肝臓病にも肝炎ウイルスが関与していることがわかり、現在、健康診断などでこのウイルス肝炎感染者の発見に努めています。すべての日本人の血液を調べれば、日本人の約1・5%がB型・C型それぞれの肝炎ウイルスに感染していると考えられます。すなわち日本人の3%、300万〜400万人がこれらの肝炎ウイルスに感染しており、その治療法の改善が医学的に重要な課題となっています。
 現在、これらの肝炎ウイルスの治療に関してはインターフェロンが用いられており、C型肝炎では3割の症例で駆除が可能となっています。一方、B型肝炎は今のところ、残念ながらウイルスの完全駆除は不可能であり、一時的にウイルスの量を減少させる治療が行われています。
 C型肝炎のウイルスを駆除した例では、肝がんの発生が約5分の1に減少し、しかも従来は治らないと考えられていた肝硬変の線維化も寛解(かんかい)する(溶ける)ことが明らかになりました。したがって、C型肝炎ではウイルスの駆除率をいかに100%に近づけるかということと、ワクチンの開発が急務の課題です。
 一方、B型肝炎ではこのウイルスを一時的に抑えることにより、果して病気自体の改善が真にもたらされるかどうかの検討が現在行われています。肝炎ウイルスに対する対策としては、B型は予防対策が、C型は治療対策が進歩したといってよいでしょう。
 また、すでに肝がんになった患者さんに対する対策もとられています。日本は肝がんの診断・治療の領域では他の国に比べてより正確に、かつ患者さんの命を永らえる種々の手段が綿密にとられているといえます。
 たとえば、肝がん治療は従来は手術のみが治療選択でしたが、現在はラジオ波治療を中心とする内科的な治療も導入されました。移植を含め治療法の選択の幅が広がったことにより、30年前は肝がんの平均余命が6カ月であったものが、現在は5年を超すところまできています。

胆嚢、膵臓の病気

 胆嚢および膵臓は、腹部の深部にあったり、あるいは管腔臓器であるために、従来はその診断が困難でしたが、超音波やCT検査法の機器の開発により、診断面で大きな進歩がありました。
 胆石症は最も一般的な疾病ですが、症状が発現しやすく、内科的、外科的な治療法が大きく展開したため、おなかをあけない治療法などの選択肢が広がっています。
 一方、胆嚢がんや膵がん、とくに膵がんの治療は極めて難しく、予後はよくありません。残念ながら膵がんの平均生存期間は現在も1年未満です。
 その原因のひとつは、どういう人が膵がんになりやすいのかという高危険群が設定しえない点にあります。もう一点は、見つかったがんが小さい場合でも、すでに発見された時点で、そのがんがほかの臓器に目に見えない形で転移していると考えられる点です。このように膵がんは多くのがんのなかでも最も難治で、その対策が急務です。
 画像診断の進歩により、たとえば内視鏡と超音波の利点を利用した超音波内視鏡のような検査方法が、より早期のがんの診断に用いられています。これらの方法と、どういう人が胆嚢がん、あるいは膵がんになりやすいのかという高危険群が設定されることによって、この難治のがんに対する対策もとりうるものと考えられています。

自分にあった治療法を選択する

 この領域で過去30年間で医療の内容の変化が最も著しいといえるのは、肝臓病かもしれません。同時に患者さんに求められる闘病の基本姿勢も大きく変わってきていると考えられます。
 肝臓病といえば安静といった常識も、現在は過去のものになりつつあります。病気自体に対する有効な治療や情報をあまりもたなかった時代には、肝臓に負担をかけそうなことは避けるしかありませんでしたが、現在では、新しい知見に基づいて病気を理解し、最新の治療についても情報を得ることができます。そのうえで不要な我慢を続けることなく、自分に合った治療法を選択してほしいものです。

(執筆者:小俣政男

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