腎細胞がん(腎がんの治療に関するトピック)
- 腎がんに対する傷の小さい体腔鏡下手術
- 手術のできない症例に対するラジオ波による腎がんの焼灼術
- より効果のある腎がんの転移に対するインターフェロンとビタミンD製剤との併用療法
- 難治性腎がんに対するミニ移植
- 近日中にインターフェロン遺伝子治療の臨床試験を厚生労働省に申請
腎がんの診断と治療
- 腎臓とは
- 腎がんとは
- 症状
- 診断
- 治療
- 予後
1.腎臓とは
腎臓は腰の高さに左右ひとつずつ、合計2つあります(右図)。
この腎臓で血液中にある老廃物をろ過して、尿として排泄します。
2.腎がんとは
腎がんは尿を作っている腎実質に発生する腫瘍の90%を占めるので、腎臓の腫瘍性病変では常に本疾患を念頭におくことが重要です(左図)。
腎実質で作った尿を一時的にためておく腎盂にできる腎盂がんと腎がんとはまったく別の性質を持っています。
3.症状
主な症状は肉眼的血尿、患側の背部痛や上腹部痛、腫瘤の触知なのですが、近年では画像診断の発達とともに腎細胞がんの60%以上が検診や他疾患の精査中に超音波検査やCTなどで偶然発見されています(右図)。
4.診断
腎がんが見つかると上記の超音波検査やCTなどで腎がんの進み具合を調べます(左図)。この腎がんの進み具合によって治療方法が決まってきます。
5.治療
腎がんに対しては、従来は主に開腹術による根治的腎摘除術が行なわれていましたが、近年は直径4cm以下の小さい腫瘍に対しては可能な限り正常部分を温存する腎部分切除術や腫瘍核出術を行っています。また4cm以上であっても周囲臓器に浸潤のない腫瘍に対しては腹腔鏡や後腹膜鏡による鏡視下手術を第一選択肢として積極的に実施しています。腎細胞がんに対する鏡視下手術は、手術成績では開腹による根治術との差は認められず、開腹術(傷の長さ:約20〜30cm)よりはるかに小さな傷(傷の長さ:約1〜7cm)で手術が可能です。また、術後の在院日数、傷の痛み、退院後の社会復帰までの期間などにおいては、開腹による根治術よりも優れたデータが得られており、今後は腎細胞がんに対する標準術式となると考えています。
高齢や既往症などのために体力的に手術に耐えられないと判断した患者様に対しては、ラジオ波による焼灼術を施行し、良好な成果を得ています。この治療法は、背中より針を腫瘍の中に穿刺し、腫瘍をラジオ波で焼く方法で、局所麻酔でも行うことができ、30分から1時間程度で手術は終了します(図1,2)。今後は手術に耐えられない患者様のみでなく、小さな腎がんに対する第一選択の治療のひとつになると考えられます。当科ではこの方法を高度先進医療に申請する予定をしています。
他臓器への転移が出現した場合には、インターフェロンやインターロイキンによるサイトカイン療法を行います。特により効果があるとされるインターフェロンとビタミンD製剤との併用療法も行っています。
これらの治療でも効果が得られなければ、血液内科の協力を得て兄弟の血液より採取した幹細胞を移植することによって腫瘍に対する免疫学的治療を行うミニ移植を行っています。ミニ移植はまだ臨床研究段階であるが、欧米では高い有効性が報告されており、今後の発展が期待されている治療法です。
難治性腎細胞がんに対して、基礎的な検討を終え、近日中にインターフェロン遺伝子を用いた遺伝子治療の臨床試験予定です。
6.予後
腎がんでもその進み具合によって予後は変わりますが、全体の5年生存率は約70%と報告されています。また、直径4cm以下の小さい腫瘍の5年生存率は約90%です。逆に転移があるほど進行した場合の5年生存率は約10%です。 |