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がん Info

「がんInfo.」は、米国国立がん研究所(National Cancer Institute : NCI)のがん情報(*PDQ)の患者向け情報を、NCI承認のもと国際医学情報センターの責任で翻訳し提供しております。93項目中、40項目がご覧になれます。

腎細胞がん


概説

このセクションの要点
  • 腎細胞がんとは腎尿細管内に悪性(がん)細胞が認められる病気です。
  • 喫煙や特定の鎮痛薬の誤用により腎細胞がんの発生リスクに影響が出ます。
  • 腎細胞がんを疑う症状としては血尿、腹部腫瘤などがあります。
  • 腎細胞がんを発見し、診断するために、腹部、腎臓を調べる検査が行われます。
  • 諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

腎細胞がんとは腎尿細管内に悪性(がん)細胞が認められる病気です。

腎細胞がん(腎がんまたは腎腺がんとも呼ばれます)は、腎臓の尿細管(非常に小さな管)の上皮に悪性(がん)細胞が認められる病気です。腎臓は腰より上の背骨の左右に1つずつ、2つあります。腎臓内の小細管は老廃物を血液から尿にして取り除き、血液を濾過し浄化します。尿は尿管と呼ばれる長い管を通って、各腎臓から膀胱へと移動します。尿は体内から排泄されるまで膀胱内に貯蔵されます。

尿管または腎盂(尿を収集し、尿管に排泄する腎臓の一部)内に発生するがんは腎細胞がんとは異なります。詳しい情報についてはPDQの腎盂・尿管の移行上皮がん*の治療についての項目を参照してください。

(注)*の項目はがんinfo.の項目には含まれていません。

喫煙や特定の鎮痛薬の誤用により腎細胞がんの発生リスクに影響が出ます。

リスク因子には下記のようなものがあります:
  • 喫煙している。
  • 長期間にわたる市販鎮痛薬を含む特定の鎮痛薬の誤用。
  • von Hippel-Lindau病または遺伝性乳頭型腎がんなど、特定の遺伝的状況を有する。

腎細胞がんを疑う症状としては血尿、腹部腫瘤などがあります。

以下の症状は腎細胞がんにより誘発されることがあります。他の状況においても同様な症状がみられることがあります。病期の初期には症状がみられず、腫瘍の成長とともに症状が現れることもあります。以下の症状がひとつでもみられた際には医師の診察を勧めます:
  • 血尿。
  • 腹部腫瘤。
  • 常に側腹部に痛みを感じる。
  • 食欲不振。
  • 原因不明の体重減少。
  • 貧血。

腎細胞がんを発見し、診断するために、腹部、腎臓を調べる検査が行われます。

以下の試験や手法が用いられます:
理学的所見および既往歴:
全身を調べて、しこりや何か異常にみえるものなど疾患徴候を含めた一般的健康状態をチェックします。また患者のこれまでの生活習慣や過去の疾患および治療の病歴についても調べます。
血液化学的検査:
身体中の器官、組織によって血液中に放出されるある物質の量を測定するために、血液サンプルを調べる方法です。ある物質の量が異常(正常値よりも高値か低値)である場合、それをつくる器官、組織における疾患の徴候である可能性があります。
尿検査:
尿の色や尿糖、尿蛋白、赤血球および白血球など尿中の成分を調べる検査です。
肝機能検査:
肝臓によって血液中に放出される酵素の量を測定するために血液サンプルを調べる方法です。異常な酵素量は、がんが肝臓まで進展している徴候である場合があります。がん以外の特定の状況でもまた肝酵素値が上昇することがあります。
経静脈的腎盂造影(IVP):
腫瘍が腎臓、尿管、膀胱などの器官にあるかどうかを見つけるために連続したX腺で調べます。造影色素を静脈に注入します。造影色素が腎臓、尿管膀胱に移動して、その場所に腫瘍があるとX腺で見ることができます。
超音波検査:
高エネルギー音波(超音波)を体内組織または器官に反射させ、そのエコーをつくる方法です。エコーからソノグラフと呼ばれる体内組織の像が撮影されます。
CTスキャン(CATスキャン):
いろいろな角度から体内の詳細な像を連続的に撮影します。像はX線撮影装置と連動したコンピュータにより作られます。造影剤を静脈内に注入するか飲み込むと、臓器や組織がより明瞭に示されます。この方法はまたコンピュータトモグラフィー、コンピュータ断層撮影法、またはコンピュータ体軸断層撮影法とも呼ばれます。
MRI(核磁気共鳴画像法):
磁石と電磁波、コンピュータを用いて、体内領域の一連の詳細な画像を撮影する方法です。この方法はまた核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれています。
生検:
細胞または組織を採取して顕微鏡下で観察し、がんの徴候を調べます。腫瘍内に細針を挿入して、組織サンプルを採取します。その後、病理医が組織を顕微鏡下で観察し、がん細胞があるかどうかを調べます。

諸条件により予後(治癒の可能性)や治療法の選択が変わります。

予後(治癒の可能性)と治療法の選択は以下の条件によって異なります:
  • 腫瘍の病期。
  • 患者の年齢と全身健康状態。


病期

このセクションの要点
  • 腎細胞がんと診断されたあと、がん細胞が腎臓内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べる目的で諸検査を行います。
  • 腎細胞がんの病期は以下の通りです:
    • I期
    • II期
    • III期
    • IV期

腎細胞がんと診断されたあと、がん細胞が腎臓内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べる目的で諸検査を行います。

がんが腎臓内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べるために行われる検査を「病期診断」といいます。病期診断のために行われた検査から得られた情報を基に疾患の病期が確定されます。治療計画を立てるために病期を把握することは重要です。病期診断に用いられる検査には次のようなものがあります:
CTスキャン(CATスキャン):
いろいろな角度から体内の詳細な像を連続的に撮影します。像はX線撮影装置と連動したコンピュータにより作られます。造影剤を静脈内に注入するか飲み込むと、臓器や組織がより明瞭に示されます。この方法はまたコンピュータトモグラフィー、コンピュータ断層撮影法、またはコンピュータ体軸断層撮影法とも呼ばれます。
MRI(核磁気共鳴画像法):
磁石と電磁波、コンピュータを用いて、体内領域の一連の詳細な画像を撮影する方法です。この方法はまた核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれています。
胸部X線検査:
胸部内の臓器と骨のX線照射を行います。X線とは体内を通過してフィルム上まで達し、体内を撮影することができるエネルギービームの一種です。
骨スキャン:
がん細胞のように迅速に分裂する細胞が骨中にあるかどうかを調べる方法です。非常に少量の放射性物質は静脈内に注入された後、血流中を移動します。放射性物質は骨中に集積され、スキャナーによって検出されます。

腎細胞がんの病期は以下の通りです:

I期
I期では、がんは7cm未満の大きさで、腎臓のみに限局しています。
II期
II期では、がんは7cm以上の大きさで、腎臓のみに限局しています。
III期
III期では、がんは以下の場所に認められます:
  • 腎臓内と隣接した1カ所のリンパ節に認められます。
  • 副腎または腎周囲脂肪組織層中に浸潤しており、さらに1カ所の隣接リンパ節に認められることもあります。
  • 腎臓の主静脈内に進展しており、さらに1カ所の隣接リンパ節に認められることもあります。
IV期
IV期では、がんは以下の場所まで拡がっています。
  • 腎周囲脂肪組織層を越えており、さらに1カ所の隣接リンパ節に認められることもあります。
  • 2カ所以上の隣接リンパ節まで拡がっています。
  • 腸、膵臓、肺など、他臓器にまで拡がっており、さらに隣接リンパ節に認められることもあります。

再発性腎細胞がん

再発性腎細胞がんは治療後に再び生じた(再燃)がんのことをいいます。がんは初回治療から数年後に腎臓または体の他の部位に再発することがあります。


治療法の概要

このセクションの要点
  • 腎細胞がん患者に対して様々なタイプの治療法があります。
  • 標準的治療法として以下の4種類が用いられます:
    • 手術療法
    • 放射線療法
    • 化学療法
    • 生物学的療法
  • その他の治療法は現在、臨床試験で検証中です。次のようなものがあります:
    • 幹細胞移植

腎細胞がん患者に対して様々なタイプの治療法があります。

腎細胞がん患者に対して各種治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療を始める前に、臨床試験に参加したいと考える患者がいるかもしれません。治療法についての臨床試験は、現在行われている治療法の改善やがん患者の新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的とされている治療法よりも新しい治療法が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。
臨床試験はアメリカ国内のいろいろなところで実施されています。実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば入手できます。患者とその家族、そして医療側が一体となって治療法を確定することががん患者の最善の治療法を選ぶ理想的な姿です。

標準的治療法として以下の4種類が用いられます:

手術療法
手術療法は腎臓の一部またはすべてを摘出する方法で、腎細胞がんの治療によく用いられます。下記の手術法が行われることがあります。
腎部分切除術:
腎臓内とその周囲組織の一部を摘出するための外科的処置です。腎部分切除術は、もう一方の腎臓が損傷しているか、または既に摘出されている場合に、腎機能を温存するために行われることがあります。
単純腎摘除術:
腎臓のみを摘出する外科的処置です。
根治的腎摘除術:
腎臓、副腎、周囲組織と、通常、隣接リンパ節を含めて摘出する外科的処置です。
1つの腎臓が機能すれば生活することができますが、腎臓が両方とも摘出された場合や、両腎臓とも機能しない場合、透析(体外の装置を用いて血液を浄化する処置)や腎移植(健常なドナー腎と交換する)を行う必要があります。がんが腎臓のみに限局しており、ドナー腎が見つかった場合、腎移植が行われることがあります。ドナー腎が見つかるまで待たなければならない場合、必要に応じて他の治療が行われます。

がんを摘除するための手術が不可能な場合、腫瘍を縮小するために動脈塞栓術という治療法が用いられる場合があります。小切開を行い、腎臓へ流入する主要な血管内にカテーテル(細いチューブ)を挿管します。カテーテルを介して特殊なゼラチンスポンジの小片を血管内に注入します。スポンジは腎臓への血液の流入を遮断し、酸素やがんの成長に必要な他の物質ががん細胞へ供給されることを防ぎます。

手術の際に医師が目にみえるがんをすべて摘出したとしても、まだ体内に残っているがん細胞すべてを殺す目的で、患者に対して手術後に化学療法や放射線療法を行うことがあります。治癒の可能性を高める目的で手術のあとに行う治療法をアジュバント療法といいます。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺すかまたは成長させないでおくがん治療のことです。放射線療法には2つの種類があります。外照射は体外の機械を用いてがんに放射線を照射する治療法です。腔内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。放射線療法の方法は治療されているがんの種類や病期によって異なります。
化学療法
化学療法は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。血液、毛髪などいくつかの正常組織に影響することから、副作用が生じる場合があります。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に影響することができます(全身的治療法)。脊柱、臓器、腹腔などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。化学療法の方法は治療されているがんの種類や病期によって異なります。
生物学的療法
生物学的療法は、患者自身のがんと闘う免疫機構を活発にする治療法です。自らの体内でつくられる物質や実験室で作成された物質を用い、患者自身の病気に対するもともとの抵抗力を高め、方向づけしたり、回復させたりします。このがん治療法はまたバイオセラピー、免疫療法とも呼ばれます。
標的療法
標的療法は、正常細胞を傷つけずに、特定のがん細胞を見つけたり攻撃したりする薬剤や他の物質を用いる療法です。抗血管新生剤は進行した腎細胞がんを治療するために用いられる標的療法の1つです。この薬剤は腫瘍を餓死させたり、その増殖を停止したり、また腫瘍を縮小させたりして血管内の腫瘍を形成させないように守ります。

その他の治療法は現在、臨床試験で検証中です。次のようなものがあります:

幹細胞移植
幹細胞(未成熟血液細胞)をドナーの血液または骨髄から取り出して、患者に再び注入します。再注入されたこれらの幹細胞は身体の血液細胞に成長し(また回復)させます。
このまとめのセクションでは、現在臨床試験を行っている治療法について個々に触れますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。


病期別治療法

I期腎細胞がん

I期腎細胞がんの標準的治療法には下記のようなものがあります:
  • 手術療法(根治的腎摘除術、単純腎摘除術、腎部分切除術)。
  • 手術が行えない患者に対して症状を緩和するための緩和療法としての放射線療法。
  • 緩和療法としての動脈塞栓術。
  • 新しい治療の臨床試験。
現在アメリカで実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば入手できます。

II期腎細胞がん

II期腎細胞がんの治療法には下記のようなものがあります:
  • 手術療法(根治的腎摘除術または腎部分切除術)。
  • 放射線療法施行前または施行後の手術療法(腎摘除術)。
  • 手術が行えない患者に対して症状を緩和するための緩和療法としての放射線療法。
  • 新しい治療の臨床試験。
現在アメリカで実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば入手できます。

III期腎細胞がん

III期腎細胞がんの治療法には下記のようなものがあります:
  • 手術療法(根治的腎摘除術)。腎血管といくつかのリンパ節を取り除く場合があります。
  • 手術(根治的腎摘除術)後の動脈塞栓術。
  • 症状を緩和し、QOLを改善するための緩和療法としての放射線療法。
  • 緩和療法としての動脈塞栓術。
  • 緩和療法としての手術療法(腎摘除術)。
  • 手術(根治的腎摘除術)施行前または施行後の放射線療法。
  • 手術後の生物学的療法の臨床試験。
このまとめのセクションは現在臨床試験を行っている治療法について個々に触れますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。現在アメリカで実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば入手できます。

IV期腎細胞がんと再発性腎細胞がん

IV期腎細胞がんの標準的治療法には下記のようなものがあります:
  • 標的療法のみ、あるいは生物学的療法後。
  • 生物学的療法のみ、あるいは腫瘍の大きさを縮小する手術療法(腎摘除術)。
  • 症状を緩和し、QOLを改善するための緩和療法としての動脈塞栓術。
  • 症状を緩和し、QOLを改善するための緩和療法としての放射線療法。
  • 緩和療法としての手術療法(腎摘除術)。
  • 手術(他の領域に進展しているがんの摘出を含めた、または含めない根治的腎摘除術)。
  • 化学療法の臨床試験。
このまとめのセクションは現在臨床試験を行っている治療法について個々に触れますが、最新の臨床試験をすべて網羅できていない可能性があります。現在アメリカで実施されている臨床試験についての情報はNCI Web siteにアクセスすれば入手できます。
(2007年02月更新)


※このがん情報は米国国立がん研究所で作成されていますので、日本の状況と多少異なる点もあります。それらについては医師にご相談下さい。
※このサービスは米国国立がん研究所(NCI、http://www.cancer.gov/)のがん情報の一部をNCIの承認の元に(財)国際医学情報センターの責任で翻訳、提供しています。
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