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前立腺がん

高齢化に伴って増加

前立腺は、男性の膀胱の頸部から後部尿道にかけて尿道を輪状に取り巻いているクルミ大の重さ16グラム程の器官で、前立腺液(精液の成分のひとつ)を分泌します。

前立腺は年をとるにしたがって、その機能が衰えていきます。そうすると、いわゆる老化現象が現われ、前立腺肥大のような障害が起こってきます。前立腺肥大症は50歳代に起こる人もいますが、その多くは60歳前後から始まるといわれています。

前立腺のがんは前立腺肥大症と同様、60歳以上に多く、その発症の平均年齢は70歳となっています。日本人の平均寿命が延びるにしたがい、前立腺がんの発生は増加しつつあり、死亡者も年間6.000人を超えています。(注1)

前立腺がんは、欧米諸国においても死亡率が高く、各国にほぼ類似する傾向があらわれています。(注2)

(注1) 最近3年間の死亡者数等の状況 (死亡率:人口10万対)
死亡者数死亡率
平成10年6,81911.1
平成11年7,00511.4
平成12年7,51412.2

「人口動態統計(厚生労働省)」による

(注2) 前立腺がん死亡率の国際比較 (死亡率:人口10万対)
国名男性のがん死亡率前立腺がん統計年
順位死亡率
アメリカ214.6225.11997
カナダ212.4224.41997
イギリス275.0232.61997
フランス306.8233.01996
イタリア311.0423.71995
ドイツ269.1328.61997
スウェーデン248.1153.21996
ロシア240.477.71995
日本291.4612.22000

世界保健機関年報「がんの統計'01」による

前立腺がんと肥大症は別の病気

前立腺のがんは、大体、外腺(前立腺の後方や側方の外面)から発生します。これに対して肥大症は、前立腺の内側の部分が肥大してくる病気です。

また、前立腺では50歳を過ぎた人に前立腺がんの「芽」(潜在性がん)ができてくるといわれていますが、この芽は大部分が芽のままでおわってしまいます。前立腺がんは、高齢化に伴って前立腺機能が低下してきて、それに何らかの要因が加わって、細胞ががん化するものであると考えられています

前立腺がんの症状

前立腺がんは前立腺の外側にできてくるので、初めのうちは尿がつまるということもなく、これといった自覚症状がありません。がんの病変が進んでくると、徐々に症状がでてきますので、よく注意していることが大切です。前立腺がんの症状には次のようなものがあります。

前立腺肥大症でも、これと同様な症状がでてきますが、どちらかというと、こちらのほうが前立腺がんより強くでてきます。したがって、このような症状によく注意して、検査を受けることが大切です。

前立腺がんが前立腺以外の臓器まで及んできますと、浮腫(むくみ)、充血、血尿などの症状がでてきます。

前立腺がんの症状の発現

  1. 腫瘍が大きくなると、尿道が圧迫されて、尿の出が悪くなります。
  2. 排尿感はあるが、尿が出るまでに時間がかかるようになってきます。
  3. 排尿の際、尿が出始めてから終わるまでの時間が長くなります。
  4. 排尿の終わりに尿の切れが悪くなり、しずくが垂れるようになります。
  5. 夜間に排尿の回数が増してきます。一回では排尿が不十分で、残尿感が生じ、何回も排尿するようになってきます。
  6. 腹部の膨満感(張る感じ)がするようになってきます。
  7. さらに進むと、膀胱のなかにたまっている尿を排泄できなくなるという症状になります。これを尿閉といいます。

前立腺がんの診断

前立腺の診断には、まず直腸診が行われています。この方法は一番簡単であるとともに発見率も高くなっています。診断の方法は、泌尿器科の専門医が肛門から指をさし入れて、前立腺に腫瘤(しこり)などがあるかどうかを確かめるという方法です。

最近は、これに加えて、血液中の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSAなど)の測定や経直腸的な超音波診断も行われています。

これらの方法で異常が発見され、がんの疑いがある場合には、細胞検査や組織検査を行って確定診断がなされます。

そのほか、エックス線撮影検査、内視鏡検査、CTスキャナーやMRI(磁気共鳴画像法)などの検査もよく利用されます。

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療法としては、外科療法、放射線療法、内分泌(ホルモン)療法、化学療法などがあり、これらの療法を組み合わせた集学的療法が行われています。

がんが局所にとどまっていれば、外科療法や放射線療法が行われます。

直腸診の様子。肛門から指を挿入して前立腺のしこりを探っているところ。
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