保険診療による切らない治療をめざす筋腫専門クリニック

切らない治療法として,動脈塞栓療法があります.内臓には心臓から流れ込んでくる血管(動脈)と心臓へ帰っていく血液が流出する血管(静脈)があり,この血液のおかげで酸素や栄養が供給されるわけです.
子宮を栄養している主な血管は子宮動脈ですが,この子宮動脈にコラーゲンのスポンジ細片などを詰めて血流を遮断し,筋腫を萎縮させようという治療が子宮動脈塞栓療法です.
太腿のつけねを局所麻酔して細長い管(カテーテル)を血管内(大腿動脈)に挿入します.レントゲンをみながらカテーテルの先端を子宮動脈まで送り込み,そこで血管を詰めます.つまり,心筋梗塞か脳梗塞のような状態を人工的に子宮に起こすわけです.
このテクニックは25年くらい前に癌の治療法として開発されたものです..抗癌剤を癌の臓器だけに高濃度で与えることにより全身の副作用を軽減しようという発想からはじまった「選択的動脈注入法」です.子宮癌でも10年くらい前から行われています.欧米で筋腫にこの方法を用いて縮小することが報告され普及し,最近日本でも行われるようになってきました.
利点は子宮そのものにメスがはいらないこと,入院日数が手術より短いことです.しかし,保険がきかないため高額なこと,手術なら摘出物の病理組織診断ができるので肉腫など悪性だった場合に,追加治療が可能であるのに対して,摘出物が得られない治療法では病理組織診断がされないことになり,追加治療がなされず手遅れとなることがあります.
また,浴びる放射線の量が通常の診断のためのレントゲンよりかなり多いこと,術直後から強い痛みが持続するため麻薬,鎮痛剤が必要なこと,出血,おりもの,発熱が長期間持続することがあること,卵巣機能が落ちる場合があること,などの欠点もあります.
この手技はレントゲン透視下に行われ,一般的には放射線科医が行いますが,診断や術後フォローアップは産婦人科が行いますから,放射線科と産婦人科の連携が大切です.
子宮に繋がっている動脈は,子宮動脈以外に卵巣動脈と腟動脈があります.子宮内膜や,子宮筋層など子宮筋腫以外の子宮の正常部分は,これらの複数の動脈の枝のネットワークにより豊富な血流を受けています.子宮筋腫は,子宮動脈から分岐した枝の血流しか受けていないので,子宮動脈の本管の血流がが一時的にでも途絶えると虚血(すなわち酸欠)に陥り,細胞が死ぬわけです.
巨大な筋腫の場合は卵巣動脈から栄養を受けていることがあります.このような場合は,子宮動脈の血流が遮断されても筋腫核が生き残り,増大します.だから,巨大な筋腫にはあまりすすめられないことが多いです..


手術には子宮を全部とる子宮全摘術と筋腫だけとる筋腫核出術があり,全摘術はおなかを切る腹式手術と,おなかを切らないで腟から子宮をとる腟式手術と,ふたつの方法があります.
全摘術では子宮癌の心配がなくなりますが,核出術では筋腫の再発と子宮癌の発生の可能性が残ります.
核出術は,こどもを産む可能性を残したい場合に選ばれますが,開腹または腹腔鏡で行うと,子宮を切り裂いて筋腫を取り出し,子宮を縫い合わせるという作業が必要です..
子宮を取ってしまうと女らしさを失うとか,更年期障害になりやすいとか心配する人が多いですが,このようなことはありません.
以前は卵巣も同時に取ってしまうことがあったため更年期障害になりやすかったのですが,最近では卵巣腫瘍が疑われない限り卵巣は残すようになってきています.子宮がなくなることによって妊娠はできなくなります.言い換えると避妊の必要はなくなり,生理もなくなりますが,閉経したわけではありません.
子宮をとっても排卵しますが卵子はとても小さいのでおなかのなかで吸収されます.女性ホルモンをつくっているのは卵巣ですから子宮がなくなってもホルモン状態はかわらず,排卵があれば基礎体温の上昇もみられます.
子宮をとった後,子宮があったところはどうなるのかと疑問に思う人もよくありますが,子宮の存在する場所は前に膀胱,後ろに直腸,上には小腸があります.膀胱と直腸は便や尿がたまったり,空だったりして子宮もそれに応じて前後に移動しますし,小腸は一定の場所に固定されておらず,食物の消化のためにたえず動き回っています.
子宮がなくなると,これらの臓器がすぐにそこを埋めますので,すきまがあいたり,空洞になったりはしないので何の問題も起こりません.1000gくらいの大きさになってしまった子宮を取った場合は,痩せ型の人では多少おなかがへっこみます.
また,腹式でも腟式でも同じですが,腟の奥行きなどは変化せず,心理的な影響はあるかもしれませんがセックスも変わりません(腟式なら男性には手術したこともわかりません).
腟式ではおなかを切らないので,傷跡がなく痛みも軽いというメリットがあります.しかし,狭いところでの手術ですので,大きな子宮の場合は手術の難易度が上がります.
腟式で取れるかどうかは術者の経験と技量によりますが,一般的には,お産の経験がない人(腟が狭い),過去に開腹手術を受けている人,子宮内膜症の合併のある人(癒着が疑われる),などでは腟式はできないといわれることが多いです.
しかし,最近では腟式手術と腹腔鏡を数多くおこなっている病院では,これらのケースも腟式での手術が可能になってきています(腹腔鏡下腟式子宮全摘).大きな子宮は手術に先立ってGnRHアゴニストを用いて小さくし,手術や内膜症の癒着は腹腔鏡を用いてはがし,,大量出血に備えて自己血を準備することにより,お産経験のない筋腫核出術を受けた人でも,1000g近い子宮を腟式で取ることもできるようになってきました.
| 正面方向の子宮断面 |
子宮は 1cmくらいの厚みの袋状の構造で,
すこしひらべったいナスビのような形をしています.
大きさはたまごくらい重さは50gくらいです. |
妊娠して赤ちゃんが育つにつれて
(a)子宮筋層は増殖し内部の空間は広がります. |
筋層の内側は2-3mmのやわらかい組織
(b)子宮内膜で内張りされています. |
内膜は排卵日のころに充血して厚くなり,
受精卵が付着(着床)すれば妊娠です. |
着床がなければ内膜は脱落して出血し
生理となります. |
筋腫は筋層から発生します(c.筋層内筋腫 小).
増殖すると筋層は肥厚し内腔の変形がおこります(d.筋層内筋腫).
外向きに発育するとコブ状になります(e.漿膜下筋腫).
内向きに発育すると内腔にとびだします(f.粘膜下筋腫).
(e)の外向きコブ型タイプはリンゴくらいに大きくなっても無症状で治療不要のことが多いのですが,(d)の筋層内タイプは大きくなると内膜面積が増加するため出血量が増え,内腔変形のため血が塊となりやすく排出が困難になり生理痛がひどくなります.
(f)の内向きコブ型タイプは 1-2cmの大きさでも出血量が増加し,あなどれません.実際にはこれらの中間型もあり,複数個もっているひとが多いです.
従来,おなかと腟から手で子宮の大きさ,硬さ,コブの位置,などを探る診察法(内診)で,にぎりこぶし大以上の子宮で症状があれば手術がすすめられていました.
最近は,超音波で筋腫のタイプと子宮の大きさをかなり正確に把握することができます.にぎりこぶし大だとだいたい200gくらいですが,外向きコブ型タイプなら300gくらいでも生理痛も貧血もないまったく症状のない人もいます.大きくなっても,このような場合は手術の必要はありません.

子宮癌は腟からみえる子宮の表面,または内膜から発生します.だから,これらの場所から綿棒などで細胞をとって検査すれば,無症状のごく初期でも癌細胞を見つけることができます.
ところが,子宮肉腫は筋層内に発生するため,初期には子宮癌検診ではみつかりません.子宮癌はみつけやすい癌であり,手術,抗癌剤,放射線が有効なので最近では「治る病気」となってきましたが,肉腫はありふれた筋腫と区別がつきにくいうえに,抗癌剤も放射線もほとんど効き目がなく,増殖,転移が早いので子宮癌よりこわい病気です.
筋腫は多くの場合,手術は必要ではないと述べましたが,これは「肉腫の疑いがなければ」という条件つきです.最近まで,筋腫と肉腫を手術前には区別できないと考えられてきました.これが,筋腫がみつかると手術がすすめられた理由のひとつでもあったわけです.
しかし,MRIの発達により,肉腫を典型的な子宮筋腫と区別することが可能になってきました.超音波でも,カラードプラーという方法で血流を観察する,と筋腫とは異なる特徴を示すことが多く,また,初診時に筋腫と診断されても超音波で定期的に観察していて急速に増大した場合は肉腫が疑われることもあります.このような場合は直ちに手術するべきです.
手術をすすめられたひとで,手術以外の治療を選択する場合は「肉腫の疑いはない」という除外診断が絶対に必要ですし,定期的な観察が大切です.
子宮癌,卵巣癌などは手術前に診断されていることが多いため,大学病院やセンター病院などに紹介されることが多く,このような病院では婦人科癌の扱い件数は多くなります.しかし,肉腫は術前診断が難しく筋腫によく似ているため,肉腫として手術前に紹介されることは稀で,癌を多く診ている病院でも肉腫の経験数は多いとはかぎりません.
筋腫の手術を数多く手がけている病院が肉腫を見る機会が多くなるので,手術をしたくない場合こそ,筋腫手術の経験豊富な病院で相談されることをおすすめします.
発育のスピードが異様に速い場合,または閉経後も発育を続けるような大きい筋腫は,稀ですが悪性腫瘍の時があります.これは正しくは筋腫ではなく子宮肉腫とよびます.
肉腫は際限なく増殖する,子宮外の臓器にまでひろがる(浸潤,転移),命にかかわる病気,という点では癌と同じです.
| 子宮筋腫の漢方治療 |
| 経腹エコー 長期観察例 |
| 漢方薬服用中に子宮が小さくなった例です.生理痛と生理の量が多いことを訴えた47才の女性て゛,手術を望まなかったため,漢方薬を長期間のんでもらい,超音波で観察を続けました.自覚症状と貧血が改善し6カ月後には推定子宮重量は236gから157gに減少しました.49才まで薬をのみ閉経が近いと考え休薬したところ,50才でも閉経にならず子宮重量は増加しました |
筋腫治療の漢方薬のメリットは副作用が少なく,コストが安い(GnRHアゴニストの1/10以下)ことです.筋腫は閉経まで付き合う慢性疾患と考えるとこの2点は重要です.
さらに,冷え症,頭痛,痔,静脈瘤,などの持病のあるひとや更年期障害の症状(肩こり,のぼせ,めまい,など)があるひとでは同時にこれらの症状がよくなることが多いのも利点です.
漢方治療が特に適するのは,妊娠を望んでいる場合,妊娠中に筋腫の症状が悪化した場合,更年期障害の症状がある場合,などですが,漢方薬の効果が十分に発揮されるためには東洋医学的診断が大切です.
漢方薬単独で十分効果が現れない場合は,ダナゾール(子宮内膜症治療剤)を併用するとよい場合があります.ダナゾールは肝機能障害,体重増加,男性ホルモン作用,などの副作用が知られていますが,通常量の1/4の少量を漢方薬と同時にのむと長期間使っても,これらの副作用は出ません. 女性ホルモンは少し低下し,生理の量が減り,生理痛も軽くなりますが,更年期障害のような症状が出たり,骨のカルシウムが減ったりする心配はありません.
もうひとつの薬は古くて新しい「漢方」です.漢方薬は筋腫の症状である生理痛に古くから用いられ,自覚症状の改善効果は知られていましたが,客観的な効果判定の手法がなかったため自覚症状だけの効果と思われていました.
子宮の手術方法が確立され安全に子宮全摘出術が行えるようになってからは,筋腫の根本的治療法は手術であると考えられるようになり,大きくなってしまった子宮には漢方薬は無効だと信じられてきました.
しかし,超音波による子宮測定ができるようになり,漢方治療の客観的な効果判定が可能になり,大きくなった子宮が漢方薬により縮小することがあることがわかるようになりました.
薬で筋腫をなくすことは不可能でも,薬で症状が改善するなら手術の必要はないわけです.症状が生理痛だけで,痛み止めが有効ならそれでいいですし,軽い貧血なら,ときどき造血剤(鉄剤)をのむだけでよいわけです.痛み止めが効かなくなったり,痛み止めの副作用(胃腸障害など)が強かったり,年中出血していて貧血が悪化していく場合は次のステップの治療が必要です.
生理不順や生理痛,生理の量が多い時などによく使われてきたホルモン剤(中用量ピル)があります.これは,エストロゲン(卵胞ホルモン) とプロゲステロン(黄体ホルモン)の合剤です.生理の規則的なサイクルはこれらの女性ホルモンによってコントロールされています.この分泌のリズム不整が生理不順の原因なので,ちょうどパソコンの調子が悪くなったときに再起動させるように,人工的にホルモンをコントロールして,生理を起こさせ,「生理の周期をリセット」しようというわけです.旅行などで生理日を変更したい時に使う薬も,この中用量ピルです.
筋腫が原因でない生理不順や生理痛には適した治療法ですが,筋腫はこれらのホルモンによって増殖する性質をもっていますので,長期の使用は禁忌とされます.
以前は「エストロゲンは筋腫を増殖させるが,プロゲステロンは増殖を抑制する」という説もありましたが,プロゲステロンも筋腫の増殖に関わっていることが確認されており,「プロゲステロン善玉説」は,現在では完全に否定されています.
エストロゲンとプロゲステロンの分泌を強力に抑制して人工的に閉経状態にする薬GnRHアゴニスト(商品名スプレキュア,リュープリン等)が筋腫治療に用いられることがあります.これにより生理がなくなり,生理痛から開放され,筋腫もかなり縮小します.
しかし,閉経状態になるわけですから,更年期障害の症状(のぼせ,肩こり,めまいなど)が副作用として問題になります.エストロゲンが低い状態が続くと,骨のカルシウム量が減ります.高価な薬なので長期になると費用も高くつきます.
これらの問題から,この治療は長期に続けられず保険では6カ月以内とされています.6カ月で治療を終了すると,また生理が再開しますが,6カ月後にはほとんどの人は筋腫がもとの大きさ以上になります.
筋腫は閉経までつきあう慢性の疾患ですから,この治療法は閉経が近いと思われる人と,貧血の早急な改善や,縮小させて手術を容易にするなど,手術を前提とした一時的な使用以外はおすすめできません.
子宮筋腫の症状は,
1.生理の量が多い,血の塊が出る,
2.貧血(女性の貧血の主な原因です),
3.生理痛,
4.不妊・不育症(流産しやすい),
5.頻尿,便秘,腰痛(大きな筋腫は膀胱,腸,神経を圧迫するため),
などですが,症状とその程度は子宮筋腫のできている位置と大きさでかわります.
子宮筋腫は,早い人は20代後半からみつかります.強い症状がでるのは30代なかばからが多く,女性ホルモンの分泌が盛んな間はホルモンの影響で大きくなっていきます.
50才を過ぎて閉経し,女性ホルモンが低下すると筋腫は縮小します.生理がなくなると症状もなくなるので治療の必要はなくなります.
子宮筋腫は腫瘍の一種ですが,悪性腫瘍(癌)ではないので,際限なく増殖したり子宮以外の臓器に転移したりしません.原則的に筋腫は癌化することはなく,手遅れになって命を失うような病気ではありません.
治療は薬物療法と手術療法に分けられますが,「手術しないと危険,手術以外の治療では効果が望めない,」というような本当に手術が必要なケースは実はそれほど多くはありません.
症状がなければ,大きいという理由だけで手術する必要はありません.逆に小さい筋腫でも,症状が強くて薬での治療がまうくいかないなら手術のほうが適しています.
子宮筋腫の診断は,以前は内診という触診でしたが,現在では,超音波とMRIが中心になります.「指先に目がある」といわれるような名医の触診でも発見できなかったものが,現在では発見でき,悪性かどうかの判断にも役立っています.,
粘膜下筋腫(内向きコブ型タイプ)は1-2cm程度の小さなものでも,生理の量が多くなったり長くなったりしますが,薬が効きにくいため手術がすすめられることが多いものです.
この場合,子宮全体としては大きくないことが多いため腟式手術が可能なことが多いですが,腟式でも1週間くらいの入院が必要です.
最近,子宮内に挿入する子宮鏡観察下に高周波メス(電気メス)を用いて,筋腫核を摘出する手術が行われるようになりました.1日または2泊3日程度の入院ですみ,保険が効く手術です.ただし,この手術が適したタイプの筋腫であるという診断が大事ですし,特殊な器械と技術を要しますので,行っているところはまだ多くはありません.
子宮内膜凝固(破壊)術は,名前はいかめしいですが,生理の出血が多い人で,妊娠を望んでいない場合には,治療に要する時間,費用,効果,体への負担,のすべてに優れた治療法です.
方法としては,1 親指の先くらいの柔らかい風船のような器具を子宮腔内に挿入し,たんぱく質が凝固する程度の温度の液体を還流させ子宮内膜を凝固壊死させる. 2 マイクロ波を用いて高温で子宮内膜を凝固壊死させる装置. 3 子宮鏡を用いる方法,などがあります.欧米ではかなり普及してきていますが,日本ではあまり行われていません.
42才の子宮筋腫の患者さんの例です.
漢方薬に少量のダナゾールを併用し,
生理痛の軽減と出血量の減少がみられました.
写真は超音波による推定子宮重量の変化です.
15か月で434gから307gに減少していることが
わかります.
| 子宮肉腫 MRI 脊椎を通る縦断面 |
正常の数倍に腫大した子宮(矢印)
筋腫とは異なる不均一な内部構造 |
| 子宮肉腫 血流波形 |
カラードプラーとよばれる超音波検査で
血流を観察すると,筋腫とは異なるパターン |
子宮肉腫の可能性が否定できなかったため子宮全摘術を選んだケースです.
手術の詳しい解説はこちらをごらんください.
超音波というと診断に用いる機械を考えますが,強力な超音波を局所にあてると生体内の温度が上がり細胞が死にます.これで筋腫の治療をしようというわけです.
筋腫だけでなく正常の組織まで障害されては困りますから,体内の一点に焦点を結ぶよう多方向から超音波を照射するシステムが開発されました.このシステムはMRIとセットになっていて,MRIで治療すべき筋腫核を確認し,狙い撃ちにします.
体内に針も管も入れないので,まったく無血の治療法で,入院も不要.動脈塞栓より痛みがはるかに軽いのも利点です.「筋腫が完全になくなるわけではないけれど症状は改善する」という点でUAEと似ていますが,UAEよりマイルドな治療です.しかし,治療効果のシャープさはUAEのほうが勝ります,UAEは大小さまざまな多数の筋腫に同時に効果がありますが,FUSは狙った筋腫にしか効果はなく,再増大するケースもすくなくありません.
最大の欠点は,効果が期待できるケースが非常に限定されることです.治療したほうがよい,症状のある筋腫の患者さんのうちで,実際に適応となるのは5%くらいです.
アメリカでは,日本の厚労省に相当する政府機関が子宮筋腫治療として正式に認めていますが,日本では保険診療として認められていません.
アメリカは,日本のような健康保険がなく,医療費(特に手術や入院)は非常に高くつきます.そのため,入院期間は極力短縮されます.子宮筋腫で子宮全摘をしても3泊4日で退院しますが,それでも100万円かかります.FUSはこれより安いため,アメリカでは一定の需要があるわけです.日本では,子宮全摘は1週間から2週間の入院で20万円くらいの自己負担ですみ,生命保険の入院・手術給付金もでますが,FUSは50万円以上かかります.
日本で最初にFUSを導入し,治療実績 NO1 を誇った医誠会病院(私か在籍した病院です)はすでにFUSから撤退しました,FUSは治療効果が不確かで,ごくわずかな人にしか効かないので,将来的にも保険で認められる可能性はなく,子宮筋腫治療としての未来はないと思います.
48歳,妊娠経験なし.33歳の時に子宮筋腫核出術を受けた人です.核出術を受けた後に筋腫が再発し,生理の出血量が非常に多く,重症貧血のため子宮全摘をすすめられていました.左の写真では,黒くて丸い筋腫核がたくさんあり子宮はへそ近くまで大きく,矢印のところでおなかがでっぱっていて脊椎や直腸も圧迫されています.右の写真は動脈塞栓後,14か月経ったものです.筋腫核はすべて小さくなり,子宮全体の体積は計算上
919ml あったのが 331ml に減りました.下腹部の圧迫感は消え,生理の量も減り,貧血も治りました.
| 筋腫子宮 MRI 縦断像 |
| たまご大の筋腫が3個あります |
| 正常子宮 MRI 縦断像 |
| 子宮はたまご大の大きさです |
97年1月(48才)
漢方治療中
推定子宮重量157g
96年7月(47才)
治療開始前
推定子宮重量236g
99年4月(50才)
治療中止後6カ月
推定子宮重量255g
子宮筋腫の全般的な解説です
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